直すことの恐ろしさ


 本書で、くり返し主張してきたテーマは、人を直そうとすることの恐ろしさでした。治療される側にとってはもちろん、治療する側にとっても、直すというのは恐ろしいことです。

そういった警告を強く発し始めたのは、日本では障害者が最初でした。障害の治療、克服、軽減といった幻想のために、日々医療、教育、福祉の分野から直され続けている障害者達は、日常生活をとおして、直すことの本当の恐ろしさを体験しました。
(あとがき)


治療という幻想/石川憲彦 1988