石川憲彦さん

治療という幻想 第一章 直すこと直ること

一つ補足しておくと、この道徳律というのは、決して単に体外受持の倫理として先に紹介したような、一見哲学的にみえる特別な談論にのみ顔を出しているのではない。ごく日常的な、ありふれた光景の中に、とてもこっけいで、あいまいな形の姿をさらけ出してい…

直すことの恐ろしさ

本書で、くり返し主張してきたテーマは、人を直そうとすることの恐ろしさでした。治療される側にとってはもちろん、治療する側にとっても、直すというのは恐ろしいことです。 そういった警告を強く発し始めたのは、日本では障害者が最初でした。障害の治療、…

直したがる神々

しかもあるがままの身体性は、自然神によってさえ否定されてきたことは想起されるべきである。本書では、この側面を特に強くは紹介しなかったが、各章の端々にこの点については記したつもりである。自然神も、直そうとしてきたのである。 直る希望は、こうい…

読書メモ 治療という幻想 第二章 てんかん―――古典医学[ごまかし]的治療―――

五年ぶりに、二十三歳になったA子さんが、母親の背におぶわれて来院した。古びたカルテには、六歳からハ歳の来院していた頃、つたないことばでしやべり、元気にはね回っていた様子が記載されている。父母は今回の来院の目的を「どんな薬を使っても発作がよ…

読書メモ 治療という幻想 第五章 言語―――教育[せんのう]的治療―――  

「泣くことも笑うこともなく、いつも無表情で指あそびをしているA子ちゃん」が「アハハと笑ってくれるようになった」時、「アハハと笑ってくれた」A子ちゃんが、ずっと以前から教師に向かって語りかけ、笑いかけ、泣きながら訴え続けてきた内容を、その時…

読書メモ 治療という幻想 第四章 脳性麻痺―――リハビリテーション[ぺてん]的治療―――

つまり、適応主義的教育を克服しつつある養護学校教育とは、それが一般教育に逆導入されてゆく時、適応主義的教育よりさらに、管理的・抑圧的教育となっている。にもかかわらず、なぜか障害児に対して語られると美しくさえ問こえてしまうものなのである。 こ…

読書メモ 治療という幻想 第三章 先天異常―――予防医学[まっさつ]的治療―――

しかし、この天は、筆者に一つのブラックユーモア的なあるできごとを思い起こさせる。 「コンドーム会社に勤める熱心なカトリック教徒がいた。彼は、自らが神の摂理を人為的にコントロールしているという罪悪感から、千個に一個穴をあけたコンドームを作るこ…

読書メモ:治療という幻想 第六章 直りへの希望

しかし、自然神を失った人類に、身体性は保証されるのであろうかと心配する人、すなわちまだ居直れないでいる人は多い。身体性への現代人の不信はとても大きい。 だが、よく考えてみよう。人類が誕生して数百万年。自然神が登場する以前の文化は数万年続いた…

「ab-use」の訳に「虐待」の語をあてるとずれがあるのでしょうかね 「ab-use」「セクハラ」「わいせつ行為」くらいなら違和感も無いのでしょうが... 「ab-use」 直訳するとたぶん「誤-使用」とかですよね...

⇔逃避・妄想 ⇔歪み軋み・Disfunctional・歪んだサイクル ab-use

現代においてそれを問う可能性をというなら、それが上部構造と下部構造ってやつなのでしょうか?

「みんな病気」

book review/memo 「みんな病気」 ・・・AC(ACofAddiction ソース:主に信田さよ子) ⇔addict ⇔トレントレズナー表紙 Drug music 何年か前aikoが「私は恋愛ジャンキー〜♪」とか歌っていましたがそのまんますぎてあんまり笑えなかったです。(類似品:大塚愛…

読書メモ

言葉とは、おとなとこどもで、大きなずれをもつものなのです。 このずれは、生活のなかで徐々に埋めあっていくものなのですが、こ れが実に難しい。たとえば、予防接種。自分の味方だと思っていた母親 が、突然嘘をつく。「痛くないわよ」などとあやしくあや…

D.N.A

さらに問題なのは、医者のなかに、悪性の遺伝子という表現を用いる 人がいることです。病気を生みだす原因となる遺伝子という意味で、一 部の遺伝子を悪性と呼ぶのでしょうが、優劣の劣と悪とは安易に結びつ けられます。くり返しになりますが、遺伝子には意…

読書メモ

しかし、胎児期の研究が進むと、この区別もあいまいになってきまし た。昔なら、六ケ月の胎児は、母体を離れて生きることができませんで した。早産の場合、先天的な原因による死亡と考えられたのです。しか し、今日、生きられる胎児は増えました。先天的と…

--の宗教へようこそ

しかし、精神の病となると、話はまったく別。さすがに、「精神病は 伝染するのか」なんて質問には出合わなくなりました。でも「精神病っ て、遺伝するんでしょう」という質問は、滅っていません。 遺伝というのは、科学的な用語。本来、恐ろしいとか、危険と…

読書メモ

日本は、島国です。だから祖先は、たいてい海の民でした。私の母の ルーツには、下関の船乗り・明石の庄屋・浪速の商人がいます。すべて 瀬戸内の海の民です。海賊、漁師、流民……海に逃れた人も、速い地に あこがれた人も、征服を夢見た人も、海を渡る人は、…

読書メモ

昨春、私の母は、八五年の生涯で初めての手術を受けました。経過は きわめて良好なのですが、術後がっくり落ちこんでいます。 「裸にされた!」 物心ついてから、他人に裸身をさらすような醜態は、コ院も演じたこ とがない。こんな恥を耐えるくらいなら死ん…