2009-09-06から1日間の記事一覧

読書メモ 治療という幻想 第二章 てんかん―――古典医学[ごまかし]的治療―――

五年ぶりに、二十三歳になったA子さんが、母親の背におぶわれて来院した。古びたカルテには、六歳からハ歳の来院していた頃、つたないことばでしやべり、元気にはね回っていた様子が記載されている。父母は今回の来院の目的を「どんな薬を使っても発作がよ…

読書メモ 治療という幻想 第五章 言語―――教育[せんのう]的治療―――  

「泣くことも笑うこともなく、いつも無表情で指あそびをしているA子ちゃん」が「アハハと笑ってくれるようになった」時、「アハハと笑ってくれた」A子ちゃんが、ずっと以前から教師に向かって語りかけ、笑いかけ、泣きながら訴え続けてきた内容を、その時…

読書メモ 治療という幻想 第四章 脳性麻痺―――リハビリテーション[ぺてん]的治療―――

つまり、適応主義的教育を克服しつつある養護学校教育とは、それが一般教育に逆導入されてゆく時、適応主義的教育よりさらに、管理的・抑圧的教育となっている。にもかかわらず、なぜか障害児に対して語られると美しくさえ問こえてしまうものなのである。 こ…

読書メモ 治療という幻想 第三章 先天異常―――予防医学[まっさつ]的治療―――

しかし、この天は、筆者に一つのブラックユーモア的なあるできごとを思い起こさせる。 「コンドーム会社に勤める熱心なカトリック教徒がいた。彼は、自らが神の摂理を人為的にコントロールしているという罪悪感から、千個に一個穴をあけたコンドームを作るこ…

読書メモ:治療という幻想 第六章 直りへの希望

しかし、自然神を失った人類に、身体性は保証されるのであろうかと心配する人、すなわちまだ居直れないでいる人は多い。身体性への現代人の不信はとても大きい。 だが、よく考えてみよう。人類が誕生して数百万年。自然神が登場する以前の文化は数万年続いた…